ビットコイン・リップル・ネム・イーサリアム税理士が教える仮想通貨の税金対策
税金上の取扱い
明けましておめでとうございます。
さて仮想通貨元年と言われた2017年の確定申告時期まであと僅か。
「億り人」と呼ばれる、仮想通貨投資で1億円以上の利益をあげた方も多数現れるなど、仮想通貨投資が過熱しています。
個人が仮想通貨で得た利益は、株式とは異なり税務上は「雑所得」として取り扱うこととなります。
この「雑所得」というのが曲者で、株式のように一律に税率が定められておらず個人の年収に応じ税率が異なります。
例えばサラリーマンが仮想通貨で1億円の利益を得た場合の税率は55.945%(所得税45%・復興特別所得税0.945%・住民税10%)となります。
これがフリーランス(=個人事業主)であればさらに国民健康保険の税率約10%が上乗せされます。
「億り人」の方々は利益の約6割は税金で持って行かれるという心構えが必要です。税金分は必ず手元に残して置きましょう。
所得控除を利用した節税策
仮想通貨で得た利益は「雑所得」として計上し、給料などの他の所得と合算され総所得金額が求められます。
税金計算の基となる課税所得金額はこの総所得金額からさらに所得控除を差し引いて求められます。
つまりこの所得控除が多ければ多いほど税金が少なくなります。
フリーランスやサラリーマンが利用できる所得控除には以下のようなものがあります。
1.小規模企業共済等掛金控除
iDeCo(イデコ)などの確定拠出年金は老後に備えた有効な節税策です。
これを機に積極的に加入することをオススメします。
また、フリーランスであれば小規模企業共済への加入も合わせて検討しましょう。
2.生命保険料控除
個人的に保険はあまり好きではありませんが、所得控除の限度額まで支払うのも1つの手です。
3.ふるさと納税
ふるさと納税は節税ではありませんが、雑所得が増加すると、それに比例し課税所得金額も増加するので、ふるさと納税の限度額が増加します。
仮想通貨で利益が得た方はふるさと納税でさらに楽しみましょう♪
雑所得によるデメリット
仮想通貨投資による損益が「雑所得」として認識されることで以下のようなデメリットがあります。
1.損失を他の所得と相殺できない
例えば事業所得の場合、赤字があれば給料などの他の所得と相殺し、相殺後の合計所得金額に対して税金が課されます。
例:事業所得△100万円・給料300万円の場合
合計所得金額200万円(=300万円△100万円)
一方、雑所得から生じた赤字は他の所得と相殺することができないので事業所得とは異なり税務上不利な取扱いとなっています。
例:雑所得△100万円・給料300万円の場合
合計所得金額300万円
2.損失の繰越しができない
たとえば上場株式から生じた損失は3年間にわたって投資利益や配当と相殺することが可能ですが雑所得にはこのような取扱いはなく、やはり税務上不利な取扱いとなっています。
3.経費の制限
雑所得は以下のように計算されます。(売却のケース)
総収入金額△必要経費
これを仮想通貨に当てはめると以下のようになります。
売却価額△取得価額(購入時の支払手数料を含む)
事業所得などとは異なり経費としてパソコン購入費など間接的な経費のすべてを含めることは難しいでしょう。
法人化の検討
これから仮想通貨投資を考えている方にオススメするのが法人を利用した仮想通貨投資です。
仮想通貨を法人の事業とすることで以下のようなメリットがあります。
1.損失と他の収入との相殺が可能
仮想通貨による損失は法人内の他の収入(投資利益以外の収入)と相殺が可能です。
2.損失の繰越しが可能
仮想通貨による損失は9年間にわたり法人内で生じた収入(投資利益+投資利益以外の収入)と相殺が可能です。
3.経費の拡大
法人から生じた経費は仮想通貨による利益と相殺できます。
取得価額だけでなく事業に関連する経費であれば交通費・飲食費・書籍代・家賃など様々な経費計上が可能です。
4.税率の違い
所得税の最高税率は45%ですが法人税の最高税率はたったの23.4%です。
投資利益に対する税率差額を利用し更に多くの資金を投資に回すことが可能となります。
このため多くの資産家は法人を利用しお金は会社に残しています。
まとめ
税金面でのデメリットを差し引いても仮想通貨は大変魅力的な投資対象かもしれません。
これから仮想通貨投資を検討されている方は可能であれば法人での購入をオススメします。
また既に去年利益を確定し利益が20万円超のサラリーマンの方については税務署への確定申告が必要となりますでお気をつけ下さい。(ただし20万円以下であっても市区町村への申告は必要です。)
仮想通貨投資の税金対策は当事務所にお任せ下さい。