オススメしない節税術・短期前払費用の特例
デメリット大!悪魔の節税
決算直前の駆け込み節税策として「短期前払費用の特例」(以下「短期前払費用」とする。)というものがあります。
通常、家賃などの費用は会計上のルールとしてその費用が発生した時にはじめて費用として計上します。
このルールを無視して支払った時に費用計上を認めてくれるのが「短期前払費用」です。
多くの節税本で紹介されている節税策ですが当事務所では以下の理由により、この節税策をオススメしておりません。
1.本当に節税か?
「短期前払費用」の節税効果は、初めてこの特例を適用した初年度のみ有効です。
費用計上されるタイミングがズレるだけで長い目でみると節税といえるかどうかは疑問です。
2.会社の経営状況が把握できなくなる
上述の通り、「短期前払費用」は会計上のルールを無視した処理方法です。
毎期の会社の経営状況を正確に把握・比較できなくなります。
3.うっかりが命取り!
この特例を適用するにあたっての最大のデメリットはこれです!
「短期前払費用」は、その適用にあたり毎期継続して適用することが求められています。
例えば12月決算の会社が短期前払費用を適用するためには、毎年12月に家賃1年分を前払いする必要があります。
ある年にうっかり12月中の支払いを忘れた場合、その年は1年分の家賃が丸ごと計上されないことになります(汗)
結果として、費用が過少となり利益が計上され余分な税金を支払うことになりかねません。
適用にあたっての注意点
短期前払費用の適用にあたっては様々なルールがあります。
1.一定の契約に基づき継続的に等質等量のサービスを受けるために支出した費用であること
(等質等量ではないので税理士報酬はダメです。家賃や保険料はOKです。)
2.支払った日から1年以内に提供を受けるサービスであること
3.契約書が月払いの場合は年払いに変更すること
4.継続して支払った日の属する事業年度の費用にしていること
5.借入金を預金、有価証券などに運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものでないこと
まとめ
短期前払費用は、幅広く紹介されている節税策ですがその適用にあたっては充分な検討が必要です。
決算直前で安易な節税策に手を出すことのないよう、日頃から税理士との連携は密にとりましょう♪