相続時の生命保険で大失敗!?代償分割で2重課税
代償分割とは?
代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人又は数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して債務を負担するもので現物分割が困難な場合に行われる方法です。
例えば相続人が3名(長男・長女・次女)、相続財産がビル1棟のみの場合に長男がビルを1人で相続したとします。
このとき長女・次女の気持ちはどうでしょう?
不動産経営はしたくない。
本家を守るためっていうのもわかる。(お母さんは既に亡くなっている前提)
でも少しはお金をくれても良いのでは?と思うのが一般的ではないでしょうか。
そんなときに、この「代償分割」が利用されます。
具体的には、ビルを長男1人に相続させるかわりに、長男が長女・次女に対して代償金としてお金を支払う(共同相続人に対して債務を負担する)という利用方法です。
この場合、代償金は遺産分割の中でのやり取りと考えるため贈与税はかかりません。
仲良し家族は損をする!?
さて、先ほどの家族のお父さんは、娘たちのことも考えて、長女・次女を受取人とする生命保険に加入しました。
その金額は各々に1憶円。
ビルの時価が1憶円だったので相続人が仲良く同額になるように配慮しました。
時は東京オリンピックも過ぎた2030年、お父さんが亡くなります。
お父さんの希望通り、ビルは長男へ、生命保険金は長女・次女へ相続されました。
しかしここで問題が生じます。
当時1憶円だったビルの時価は、人口減少・アベノミクス崩壊・生産緑地問題で大幅に値下がりしてしまい6,000万円になっていました。
テナントも決まらず空室が目立つ厳しい経営状態です。
そこで優しい長女・次女はそれぞれが相続した生命保険金のうち5,000万円を代償金として長男へ渡すことにしました。
2重課税問題
さて上記の場合、長男は相続税を支払うのとは別に長女・次女から受け取った代償金の合計額1憶円に対して贈与税を支払う必要がでてきます。
最初に紹介した代償分割を利用すれば解決できそうな案件ですが、実は生命保険金は「みなし相続財産」といい、遺産分割の対象となる「相続財産」とは種類が異なる存在なのです。
まとめ
相続人が複数人いる場合、財産を誰にいくら残すのか。
経営者の悩みは尽きません。
相続対策で生命保険に加入する際は専門家を交えての十分な検討をおススメします。
なお、今回のお話はすべてフィクションです。
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