不動産売却時の消費税対策・課税売上割合に準ずる割合

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不動産売却で消費税の支払額が激増!?

土地の売却金額が大きい場合、その年の消費税の支払額が例年の倍以上になってしまう可能性があることをご存知でしょうか?

土地が売れたのだから、売却金額に係る消費税を支払うのは当たり前かと思うかもしれませんが、そういうことではございません。(土地の売上に対して消費税はかかりません。)

消費税の支払額は、売上などに係る「預かった消費税」から仕入などに係る「支払った消費税」を差し引いて求められます。

「支払った消費税」の計算にあたっては、実は3通りの方法がありますが、納税者が自らこの方法にしたいと税務署に対して意思表示をしない限り個別対応方式が採用されます。

1.個別対応方式

2.一括比例配分方式

3.簡易課税方式

個別対応方式を採用した場合、「支払った消費税」は下記のように計算されます。

「支払った消費税」=(1)+【(2)×課税売上割合】

(1)課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの

(2)課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係るもの

土地を売却した場合、問題となるのは、上記の課税売上割合というものです。

 

(ここからが本題です。)

 

課税売上割合は下記のように計算されます。

課税売上割合=課税売上高÷(課税売上高+非課税売上高

勘の良い方はもうお分かりでしょう。

土地の売却金額はこの非課税売上高に含まれるのです。

もう少しわかりやすくするために数字を用いて確認してみましょう。

1.例年

(1)預かった消費税1億円

(2)課税売上割合 100%【=イ÷ハ】

イ 課税売上高12憶5,000万円

ロ 土地売却金額0円

ハ イ+ロ=12憶5,000万円

(3)支払った消費税

イ 課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係る消費税 5,000万円

ロ 課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係る消費税 5,000万円

ハ イ+ロ×100%=1憶円

(4)消費税支払額

1憶円 ― 1憶円=0円

 

2.たまたま土地の売却があった年

(1)預かった消費税1億円

(2)課税売上割合 50%【=イ÷ハ】

イ 課税売上高12憶5,000万円

ロ 土地売却金額12憶5,000万円

ハ イ+ロ=25憶円

(3)支払った消費税

イ 課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係る消費税 5,000万円

ロ 課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係る消費税 5,000万円

ハ イ+ロ×50%=7,500万円

(4)消費税支払額

1憶円 ― 7,500万円=2,500万円

 

土地から直接生じた消費税ではないですが間接的に消費税の支払額が増加してしまいました。

実はこのように理不尽に消費税が増加するケースを想定して税務署は課税売上割合に準ずる割合というものを用意してくれています。

課税売上割合に準ずる割合とは?

土地の譲渡が単発のものであり、かつ、土地の譲渡がなかったとした場合には、事業の実態に変動がないと認められる場合に限り、次の①又②はのいずれか低い割合を課税売上割合として使用することを認めてくれています。

(課税売上割合ではないけれど課税売上割合と同じように扱うので課税売上割合に準ずる割合といいます。)

①当該土地の譲渡があった課税期間の前3年に含まれる課税期間の通算課税売上割合

②当該土地の譲渡があった課税期間の前課税期間の課税売上割合

つまり土地の譲渡がなかった年の課税売上割合を使用することになります。

事前準備が大事!

さて、この課税売上割合に準ずる割合ですが、適用を受けようとする年の決算日までに事前に税務署の承認を受ける必要があります。

承認にあたっては税務署側での審査期間があるので決算直前に駆け込んでも時既に遅し・・・。

(税金の特例を受けるにあたっては数多くこの嫌がらせのような期限が存在します・・・。)

まとめ

今回紹介させて頂いた特例を適用するにあたっては、日頃からのお客様との情報共有が必要不可欠です。

知らない人は損をする。

それが税金です。

 

 

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